※平行ニコルの顕微鏡写真:全て偏光の振動方向は画像の左右方向(⇔)
チタンざくろ石
ショーロマイト Ca3Ti2(SiFe2)O12,森本ざくろ石 Ca3FeTiSi3O12の総称 [戻る]
※ショーロマイトと森本ざくろ石相互の区別は光学的にはできない。含まれるFeの価数からすると,森本ざくろ石(Fe2+)はショーロマイト(Fe3+)よりも還元的な環境でできる。化学分析値でO=12とした時にSiの原子数が3を著しく下回るものはショーロマイト成分の固溶が考えられるが,ショーロマイト成分と森本ざくろ石成分が同時に固溶される場合が多い。
※チタンざくろ石を黒ざくろ石(メラナイト)と呼ぶこともあるが,右画像のようにTiを含まないアンドラダイトにも黒色(濃褐色)のものがあり,これはわずかに酸素原子が欠損し,その空孔に電子が捕捉されることで濃褐色になっているものと考えられる。 右画像はスカルン中のTiを含まない濃褐色のアンドラダイトで、無色部分と累帯構造をなす(平行ニコル)。 |
等軸晶系 等方体。n=1.90前後。
色・多色性:褐色〜暗紫褐色。多色性なし。Ti含有率が多くなるほど濃色。ただし,上記のように、Tiを含まないアンドラダイトが褐〜暗褐色になっている場合もあり,それは酸素のサイトが空孔になり,そこに電子が捕捉されて光が吸収されているものと考えられ,チタンざくろ石と紛らわしい。
へき開:認められない。
双晶:認められない。
累帯構造:Tiの多少による褐色の濃淡の累帯構造がよく認められ,これはチタンざくろ石−アンドラダイト固溶体である。そのようなチタンざくろ石と累帯をなすアンドラダイトは黄味が強いこともある。なお,チタンざくろ石はおおむねAlに乏しい(グロッシュラー成分に乏しい)。
産状 アルカリ深成岩やカーボナタイトに顕著に見られることがあり,アルカリ深成岩の場合は長石類のほか,ネフェリン・エジリン・リン灰石などと共生し,カーボナタイトでは方解石のほか磁鉄鉱・パイロクロア・モンチセライト・リン灰石などと共生する。時にリューサイトに富む火山岩中にも少量見られる。 また,スカルンに産することがあり,このものはケイ灰石・くさび石・透輝石などと共生し,アンドラダイトとの累帯構造が発達する場合が多い。 なお,いずれの産状のものも特にTiに富むものは数wt%のZrO2を含む場合がある(kimzeyite成分の固溶)。 |
スカルンのチタンざくろ石 平行ニコル 濃紫褐色の部分はTiO2が15wt%程度含まれ(ZrO2も数wt%含まれる),O=12とした時の実験式でSiの原子数が2.5程度で,やや3を下回っており,森本ざくろ石成分(Ca3FeTiSi3O12)の固溶の他にショーロマイト成分(Ca3Ti2(SiFe2)O12)の固溶もある。やや色の淡い部分はTiO2が数wt%の含有率のアンドラダイトで(ZrO2はほとんど含まれない),不規則な累帯構造が著しい。無色部分はケイ灰石や方解石。 |